NOT YOUR EVERYDAY DOORMAT

ネッフリ・アマプラの記憶

ロンドンリバー

 

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感想

一部は真理、一部はステレオタイプ

あらすじ

2005年ロンドンで起こった同時多発テロ。子供と連絡がとれなくなったイギリス人主婦とフランスに移民として暮らすアフリカ人の父親の交わることのなかった人生が交錯しはじめる…

 

ロンドンブリッジ、ではなくロンドンリバーなんですね。しかしロンドンブリッジがかかるのはテームズ川。ロンドン川ってあるのかな?象徴的な意味の川なんでしょうか。

ロンドンの同時多発テロはもう14年も前のことなんですね。当時勤めていた会社の本社がロンドンにあったのだけれど、幸い被害にあった人は誰もおらず、あの規模のテロでも、被害にあってしまった人は非常に不幸にも、レアな確率で巻き込まれたんだなぁと思ったのを思い出した。

離島でのんびりした生活を送る初老女性エリザベスとフランスに長いこと住む英語の話せないウスマンの共通点は、子供の今の生活を良く知らないことと、ロンドンが馴染みのない土地であること。

同じイギリス人であるのに警官はエリザベスに親身になってくれず、彼女を助けてくれるのはテロの犯人と同じイスラム教徒ばかり。

一方フランスに暮らすイスラム教徒ウスマンのことは、モスリムコミュニティーが助けてくれる。

ふとしたきっかけで、自身の息子がエリザベスの娘ジェーンと交際していたことを知ってエリザベスに連絡をとるものの、エリザベスはウスマンのことも、ウスマンの息子のこともはなから信用せず偏見を露わにする。

  • イスラム教徒=良い人
  • イギリス人=根っからの悪人ではないが無知ゆえの偏見に捕らわれた人

っていう描き方をしたいのかな。そういう側面がないとは言わないけど、生活の中で異文化との接触の頻度は個人の環境、事情、趣向によって違うのは当たり前で、そこから導き出した答え(ここではイスラム教徒に対する理解や態度)を、無知!と決めつけるのはどうなんかなぁ、と。

それに、異文化に対する知識を増やしたり理解を深めたりするのは常にイギリス人側の義務なんだろうか。

移民の側で、イギリスの文化や生活習慣を理解してそこに違和感出来るだけ少なく溶け込む努力の方が順番としては先にくるのではないのか?

 

フランスに旅行に行く予定だったジェーンとその彼氏。

良かった!子供は生きてる!テロも自分たちの子供とは無関係だった!(途中二人とも、子供がテロを実行して姿を眩ましたのではないか、と疑い始めてた。)

と、急速に打ち解け始める二人。

ところがどっこい、実はジェーンとウスマンの息子(名前忘れた)は、朝銀行によってから旅行に出かけようと乗っていたバスがテロの標的になっていて身元確認すら不可能な、変わり果てた姿になっていたのでした。

失意のもとに、故郷に帰ろうとするエリザベスに、彼らの娘と息子はお互いに愛し合っていた、愛する人と出会えることは人生のすべてだ、と言葉をかけるウスマン。

エリザベスもウスマンも家族と離れ離れだったり、亡くしていたりするし、そういう状況におかれたときに悲しみのもう一方で、出会えたこと、愛し合えたことに感謝をすることは心の慰めになると思うので、ここにはとても共感。また、宗教や民族を越えてファンダメンタルな部分で人はつながりあえるというメッセージなんだろうな。

ただ、エリザベスがフランス語話せなかったら成立しないですけどね?!

言語は文化の最も大きいパートを占めていて、言語を共有するっていうのは文化を共有しているとも言えると思うので、この人達全く異世界にいるわけでもないんだよなぁ。

家族の行方が知れない焦り、家族の『今』を知らないことに対する驚愕、悲しみから何とかして立ち上がろうとする健気さ

には、同意しつつ

移民を受け入れる側への要求高めだなぁ

という残念感もありつつ、でした。家族に隠し事はしないほうがいいし、家族が後々困るような死に方はしないようにしようと思いました!